『ウィザードリィ外伝 五つの試練』シナリオエディタ講座【第12回】テストプレイ開始

『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam版シナリオエディタを用いた、ユーザーシナリオ制作講座。今回は「第12回」となる。

前回で「イベントデータの設定」を終えたことにより、ユーザーシナリオの制作に必要な全てのデータ入力は完了した。次は、いよいよ自作シナリオの「テストプレイ」を行い、シナリオデータに修正を施してゆく段階だ。

テストプレイの方法&シナリオデータ修正の反映

シナリオエディタで制作したユーザーシナリオを「非公開」状態のまま『ウィザードリィ外伝 五つの試練』のゲーム本体上で起動する手段や、シナリオデータの修正内容を実際のゲームデータに反映させる方法については、以下の各ページを参照してほしい。

ゲーム本体を起動しテストプレイを行う

シナリオファイルの更新

制作したシナリオを、ゲーム本体上で問題なく起動できただろうか。

テストプレイの実施回数

実際にテストプレイを行う回数だが、最低でも「2回」、可能ならば「3回」以上が理想だ。

初回において、マップ構造やイベントの明白な設定ミスやメッセージテキストの誤字脱字、さらには「アイテム/モンスター/エンカウント/宝箱」といった設定データの「修正」を行い、シナリオの内容に一通り問題がなくなったと言える状態まで仕上げておく。

そして、二周目以降のテストプレイでは、初回に見落とした部分の修正、ならびに適宜細かく「調整」を加えてゆく流れになる。

なお、テストプレイ時に使用するパーティーメンバーの構成だが、周回ごとにキャラクター作成時のボーナスポイント(BP)や職業に変化を持たせるのがよいだろう。可能な限り多様な条件下でシナリオの設定内容を検証するためだ。

テストプレイにおける「確認項目」の一覧

「地上施設」について

  1. 商店の初期在庫」の品揃えは、想定通りになっているか?
  2. 城の看板メッセージ」は意図した通りに表示されているか? 誤字脱字はないか?
  3. 迷宮入口のメッセージ」は意図した通りに表示されているか? 誤字脱字はないか?

「マップ構造」について

  • 壁に囲まれて想定外に侵入不可能なエリアはないか?
  • 壁の設置忘れで「岩」の中に突入してしまう場所はないか?
  • 「壁」の種類(標準の壁/飾り壁/透明な壁)に設定ミスはないか?
  • 「扉」の種類(標準の扉/飾り扉/透明な扉/アーチ)に設定ミスはないか?
  • 「床」や「天井」の「第二グラフィック」の配置場所に問題はないか?
  • ダークゾーン」の配置場所に問題はないか?
  • テレポート禁止」座標の指定に問題はないか?
  • 床マーク」「天井マーク」の設置忘れはないか?

「イベント」について

配置した全てのイベントの設定内容に問題がないか検証する。

特に――

  • 「移動系」イベントの到達先の座標に間違いはないか?
  • 「階段」の進入口にアーチを設置しているか?
  • 「戦闘」イベントの出現モンスターに間違いはないか?
  • 「NPC」イベントの内容に間違いはないか?
  • ピット/炎の床/毒の沼」のダメージ値は適切か?
  • フラグ」(通常フラグ/一時フラグ)の値の設定に間違いはないか?
  • 各イベントの「メッセージテキスト」は意図した通りに表示されているか? 誤字脱字はないか?
  • 各イベントの「固定メッセージ」が不自然な展開を引き起こしていないか?

イベントの種類によって確認すべき点は異なるため、各イベントひとつひとつを地道に検証する必要がある。

「戦闘」について

  • エンカウントするモンスターの設定に間違いはないか?
  • モンスターの「不確定名」に選択ミスはないか?
  • モンスターの「出現数」や「出現グループ数」に問題はないか?
  • 戦闘の難易度は想定した通りになっているか?
  • 戦闘後に得られる「経験値」「ゴールド」の設定は適切か?
  • 戦闘後に得られる「ドロップアイテム」の入手確率は適切か?
  • キャラクターの「レベルアップ」の速度は想定した通りになっているか?

「アイテム」&「モンスター」のコンプリートについて

  • 商店に売却可能なアイテムの棚埋め(コンプリート)は可能か?
  • モンスター図鑑は全て埋めることが可能か?

独自の「確認項目リスト」を作成する

以上、テストプレイを実施する上での代表的な確認項目を列挙してみた。

テストプレイを行う中で、シナリオデータに施した「修正」や「調整」の内容はメモしておき、それらを基に自分なりの「確認項目リスト」を作成しておくことを推奨する。言い換えれば、「自分がやりがちな設定ミス等のリストアップ作業」である。

次作以降のテストプレイの際、その自作リストを用いることで、シナリオの「修正&調整」の精度が格段に上がるからだ。

なお、自作シナリオのテストプレイを行う際にはシナリオエディタを開いておき、「修正&調整」すべき点を見つけたら、リアルタイムで片端から当該部分のデータに手を入れてゆく。

そして、ある程度の修正履歴が貯まった時点でシナリオデータを更新し、実際のゲームデータに反映させる。この繰り返しだ。

「テストモード」の活用

シナリオを「非公開」状態でテストプレイする際には、「テストモード」と呼ばれる機能を利用することが可能だ。

迷宮内でキーボードの[Ctrl]+[F4]を同時に押すことで起動するデバッグ支援機能である。

テストプレイにおいて主に使用する項目は「テレポート」ならびに「フラグセット」である。

テレポート」は、任意のマップの指定座標にいつでも転移できる機能だ。

特定のイベントの動作検証の際、そのイベントの設置場所へ直接飛べる等、テストプレイ中のショートカットに用いると便利だ。

そして「フラグセット」では、任意のマップ内の「通常フラグ」の[ON/OFF]を自在に切り替えることができる。

イベントの発生によって[ON]になったフラグを元に戻したり、フラグによって条件分岐するイベントの動作確認などに利用したい。

さて、自作ユーザーシナリオのテストプレイは無事完了しただろうか?

次回は、いよいよ完成したシナリオを一般公開する作業を行う。

『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam版シナリオエディタ非公式マニュアル