『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam版シナリオエディタを用いた、ユーザーシナリオ制作講座。今回は「第6回」となる。
前回に入力したアイテムデータを基にして、「宝箱」に関連する各種のデータ設定を行ってゆく。
宝箱データの事前準備
最初に、宝箱の設定内容を簡単にまとめた一覧表を用意する。
今回のサンプルシナリオでは、各マップ(地下一階~地下三階)ごとに、それぞれ「3パターン」のドロップテーブル(戦闘後に入手する宝箱)を設定する。
さらに、固定敵(ラスボス)と宝箱イベントで採用する宝箱データも必要になる。
後日、各種イベントの設定を行う段階において追加の宝箱データが必要となる可能性はあるが、とりあえず現時点における要素は以上だ。
「宝箱の罠」の詳細設定
個別の宝箱データの設定を行う前に、「宝箱の罠」の種類や威力について、先に設定しておく。
シナリオエディタのページ上部メニュー「データ各種」から、サブメニューの「宝箱」を開き、さらに「宝箱の罠を変更」の項目を選択する。
宝箱に仕掛けられている罠の種類については、任意の「罠の名称」をプルダウンメニューから選択すればいい。
最大で「11種類」の罠を設定することが可能だが、11枠の全てを埋める必要はない。逆に、用意されている「25種類」の罠をひとつのシナリオで全て登場させることもできない。シナリオの雰囲気や難易度に合わせ、採用する罠の種類を厳選しよう。
HP(ヒットポイント)にダメージを与える種類の罠については、具体的なダメージの値を指定する必要がある。ここで設定したダイス値と各フロアマップごとに設定する「難易度」の数値により、罠の発動時に実際に被るダメージ数値の範囲が決まる。
ダメージボーナスとして「ダイスの値×難易度」と「ダイスの値+難易度」の2パターンを選択できるが、今回はショートシナリオということもあり、「ダイスの値+難易度」を選択することにした。シナリオクリア時点でもプレイヤーキャラクター側のHPがそれほど上昇しないと思われるため、罠のダメージも控えめにすべきだろうという判断だ。
なお、罠ダメージの計算式として「ダイスの値×難易度」を選択する場合、罠の威力が想定以上に高くなる恐れがある。したがって、フロアマップ単位の「難易度」の設定には細心の注意が要求される。
宝箱の設定のデータ構造を理解する
宝箱の詳細な設定作業を行うに当たり、まずはデータ構造の概要を理解しておこう。
宝箱データは、最大100種類[宝箱番号:000~099]を設定することが可能だ。
それぞれの宝箱データからは、最大「3つ」のアイテム[①~③]を一度に入手できる。各アイテム枠[①~③]ごとに、アイテムが手に入る確率を[0~100%]で設定することにより、戦闘後の宝箱からドロップするアイテムの数(0~3個)が変動する。
そして、各アイテム枠から実際に入手するアイテムは、確率の異なる3種類のアイテムリスト[箱1~箱3]の中から、ひとつだけ選ばれる。
宝箱データの詳細を設定する
では、いよいよ実際に「宝箱データ」の設定を行う。「宝箱一覧」の項目をクリックすると、設定画面が開く。
最初に、設定対象となる「宝箱番号」をプルダウンメニューで[000~099]の中から選択する。
前述した通り、全部で「100種類」の宝箱を設定できるというわけだ。この「宝箱番号」を後からモンスターデータ側で指定することで、各モンスターごとにドロップする宝箱が決定される。
「アイテム①~③」は、それぞれの宝箱の「アイテム枠」(最大3つ)を意味する。それぞれのアイテム枠について、「アイテムの出る確率」を[0~100%]の範囲で設定する。
一例として、以下のように設定した場合――
アイテム① アイテムの出る確率 [100%]
アイテム② アイテムの出る確率 [50%]
アイテム③ アイテムの出る確率 [0%]
その宝箱を開けた際、必ずひとつはアイテムを入手し、[50%]の確率で2つのアイテムを入手するが、一度に3つのアイテムを手に入れることは絶対にない――ということになる。
なお、アイテムの魔法効果「アイテム出現(+%)」「アイテム出現(-%)」は、3つのアイテム枠に設定する「アイテムの出る確率」に対して[0~99]の数値を加算or減算することで、ドロップアイテムの入手確率に影響を与える。
では、実際に宝箱から入手するアイテムの詳細なリストを入力してゆこう。
上記のキャプチャ画像は、「宝箱番号」が[006]の宝箱データについて、二番目のアイテム枠(アイテム②)から、[50%]の確率でアイテムを入手する――という設定になる。
それぞれの「アイテム枠」は、以下の3つに細分化される。
箱1(確率:高)[約77~84%] 最大登録アイテム数 [30]
箱2(確率:中)[約14~21%] 最大登録アイテム数 [15]
箱3(確率:低)[約1~3%] 最大登録アイテム数 [7]
「箱1~3」(=アイテムリスト)内のアイテムが引き当てられる確率は、後述する「アイテム出現チェック」による計算の結果から推測した値だ。
当然ながら、各アイテムリスト内のアイテム登録数が多ければ多いほど、個々のアイテムが入手できる確率は下がってゆく。アイテム入手確率の調整はシナリオ制作者の腕の見せ所だが、何も複雑な確率計算に精通している必要はない。シナリオエディタ上の「アイテム出現チェック」機能によって各アイテムの入手数を簡単にシミュレーションできるためだ。
なお、アイテムの魔法効果「レアアイテム発見(+%)」は、「箱3(確率:低)」のアイテムリストが選ばれる確率を[0~99]の範囲で上昇させる。
罠の種類を選択
「宝箱の罠を変更」で選択した罠がリストアップされている。当該の宝箱データに設置する罠にチェックを入れるだけだ。
ゴールドの設定
当該の宝箱から入手するゴールド(お金/GP)の金額を数値指定する。
ちなみに「テスト計算」で表示される金額の範囲は、「ランダムエンカウント」や「固定戦闘」の際に入手する金額の最小&最大値となる。いわゆる「玄室エンカウント」の場合、金額が倍になる点に注意しよう。
アイテム出現チェック
「アイテムの出現数」や「入手ゴールドの金額」、そして仕掛けられている罠の回数が、当該の宝箱を[1000回]開けた際の値としてシミュレーションされる機能である。
ここで表示される値を参考に、それぞれの宝箱の設定を調整したら、宝箱データの設定は完了だ。
宝箱データの「CSV出力」
「宝箱一覧」画面の右下にある「CSV出力」ボタンをクリックすると、全ての宝箱設定データをCSVファイル形式でダウンロードし、ローカルPCに保存しておくことができる。一通り「宝箱データ」の入力を終えたら、必ずバックアップしておこう。
次回は「モンスターデータの設定」を行う。